自由研究室 ペコリのワークショップ大磯

自由研究室 ペコリのワークショップ大磯

写真と暮らし研究所は、2013年に構想があり、
お店AtelierPiccoloと共にそのコンセプトを貫いてきた小さな世界でした。
その頃の写真は、旅と合わせることが何よりもポピュラーで
暮らしと合わせることなんてどのメーカーも打ち出してはない状態でした。
だからこそ「写真を撮る」ということが自分の範囲を超えて
非常に無責任な形で広まってしまったのだろうと思います。

デジタルの写真はカメラさえあればタダでいっぱい撮れる
配信をすればフォロワーが増えて、企業からの案件もやってくる
一億総フォトグラファー時代

そんなことできっと、写真を撮ることが心無いものとして
大衆文化に溶けてしまったのでしょう。

けっして、そのままでいいとは思えないので、
このペコリのワークショップは
できるだけ町の人に関わって、撮らせてもらえる場所を大切に
またその場所を維持している人が有益になるように、
買う、払うという部分も大事にしています。

写真とそれぞれの暮らし。
暮らしは生活ということだけではなく・・・・・

白い空のなかにブルーグレーの雲が浮かんでいる美しい日。

さて、大磯の町歩き。この日は港から出発です。
この日、大磯港のあおばど食堂さんの一階に、
あおばとマルシェがオープンした日でした。
地元のお野菜やジュースが並んでいるのを拝見。駅のほうに向かって歩いていると、井上蒲鉾の店員さんが
パンフレットを持ってわたしたちのところへやって来てくれました。
おいしいかまぼこや、はんぺんの話と
大磯のお米「僕らの酒」という地酒の酒粕でつくったわさび漬けが
あることを教えてもらう。
「僕らの酒」は7、8月くらいに店頭に並ぶそうなので、
ぜひ買いにきたいとお約束し。
*井上蒲鉾さんは17時閉店なので、帰りに寄る方はお早めに。

また、歩いていると、大磯のお店の皆さんが慕っているという
グルニエ・メメさんが見えてくる。
メメさんの奥さんには、先日ロケハンに来た時に
町のお話を聞いてお世話になりました。
大磯の人々365人で構成された大磯日めくりカレンダーを購入し
この町のあたたかいモノづくりの話しや、出版社や
作り手のことを伺いまして。
こんな一見さんのわたしにも丁寧にご対応いただいて恐縮です。
ガレージにも、お家にも、素敵な古い道具や着物がいっぱい。
さて、駅の横の道をてくてく。綺麗な壁画が目に飛び込んでくる。
やわらかい海のなかの壁画。
その角を曲がると、art&booksつきやまさんと、茶屋町カフェのある
小さな村のような空間が現われます。
こちらは
もとは吉田茂の番記者達が通っていた酒場月山を改装した場所なのだそう。
つきやまのオーナーでデザイナーの佐藤一樹さんに
たまたまお会いすることができ、活版印刷の機械を見せて頂きながら
お話を伺いました。
もう日本で稼働している活版印刷の機械は20台くらいしかないそうで
その1つがこちらにある機械だそうです。
今年の1月に活版印刷のフェア「活版TOKYO」にて
わたしは佐藤さんにお会いしていたり、
以前に築地活字さんを取材したり、
かく田さんのくるくる活版印刷機を購入していることなどを
お伝えすると、そうだったのですねと
大磯の魅力をたくさんお話ししていただきました。

佐藤さんが主宰しているOISO BOOK MARCHEは
2026年5月16日17日で開催とのことで、16日にまた来ようと思う。
ちなみに、先ほど井上蒲鉾さんで聞いた「僕らの酒」のラベルは
画家の牧野伊三夫さんが描いていて、
こちらの活版印刷の機械で印刷されているようです。
そのラベルや、豆本の印刷された紙などを実際に見せて頂いた。
インクと紙のつくる空間がやさしくてすき。
さて、つきやまの隣にある茶屋町カフェでごはん。
毎回茶屋町定食を頼むので、今回はマグロ丼にしてみました。
デザートも食べたいし、名残惜しいけれど、
お礼をして街歩きにでかけるワークショップメンバー。
今回は7名が参加。私をいれて8名だから、邪魔にならないように
お店に気を使いながら目的地へ。
・・・と途中、本屋さんに出合う。
猫の客というこじんまりしているのに天井が高いので
心地よい空間で、心を突っつくような本が並ぶ。
素敵な本と出合えるかどうかは、もちろん自分の行動範囲や選び方に
よって変わるとは思うのだけど。
でも、素敵な本屋の店主と会えるかどうかにもよるのかなと思う。
それが偶然の出会いによってもたらされたのならば、その日は1日
とても良い日だと言い切ってもいい。
本屋「猫の客」にて、わたしは2つの本を買った。
本はこころを分けてもらうような感じなので、1つ2つと数えたい気分。
一つの本は、100年後 あなたもわたしもいない日に
もう一つは、店主さんにおすすめされた
猫の客の店名にもなっている平出隆さんの猫の客。
本を買うとその場でブックカバーをつけて、スタンプを押してくれました。

大磯の海岸の特徴である丸い石と共に、今日の記念を1枚。

それから住宅地を抜けたり、小径を通ったりして お花屋さんのカフェに向かう。着いたのは15時まえ、おやつの時間。
お花屋さんの営む「flower&cafe 大磯花帆槻」
こちらも以前ロケハンで来た時に、ジャスミンのアイスがおいし過ぎて
ワークショップの参加者の皆さんに食べさせたいぞ!と思ったのでした。
中に入ると、まるで魔女の宅急便のキキの実家のよう。
実際にこんなに素敵な景色ってあるんだなって感動してしまう。
デザートやドリンクはお花と合わせて丁寧に作られていて。
とってもおいしい時間。これはマリーゴールドのレアチーズケーキ。
それからローズマリーのアイスクリーム。
すっかりゆっくり堪能してしまったけれど、
こちらはお花屋さんなので、お花のアレンジを予めお願いしておいた。
野原に咲くような小花を集めたものにお願いしますとお伝えして
つくっていただいたのがこちら。
やさしくて淡い色合いの花束。
お店にお礼を言い、この花束を抱えて海へ。
トンネルをぬけるとそこは、こゆるぎ浜。
みんな、思い想いに海を眺めてたり
お花を撮ったり。

さて、ワークショップもそろそろおしまいの時間。
さくらんぼのような光がみんなの髪の毛をやさしく照らして。
大磯という町にすっかり魅せられた1日となった。

でも、わたしは自分が住んでいないご縁の乏しい町だったから
失礼がないか、お店の方は嫌な思いをしてないかなと
終日ぴりぴりしていた。
わたしの写真を見て、多くの人はのんきに鼻歌でも歌いながら
たのしそうに撮っているように思うのかもしれない。
もし、そうできるならどんなにいいだろうと感じる。

知り合いのいない町をスナップするには、特に、
いつも胃が痛くなるくらいの気を使っている。
そうやって細心の注意を払ったとしても、嫌な思いをする地域の方が
きっといるかもしれないと、カメラを持っているだけでも思う。

写真は景色を借りないと撮らせてもらえない。
自分の好きを見つけたから撮る、自分が心地いいから撮る の前に
誰かが育んだ場所であることをきっと忘れてはいけない。

デジタルになって写真を撮ることを雑にし過ぎた。
カメラを持って歩く人が歓迎される時代はもう来ないのかもしれないと
すこし寂しくも思う。
そんな話をみんなにしながら、ペコリのワークショップは終了したけど
参加者の皆さんは理解してくれる方ばかりだから、安心している。
それでもわたしは何度も伝える言葉で
写真がメインになってはいけないよ、写真は副産物だからって。

どうか、段取りとマナー、ひとの心に敏感に
と願っています。

大磯でお会いしたすべての皆さんに感謝です。
ありがとうございました。
また伺わせてください^^

 

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