オリジナルカメラバッグの制作と販売

ずっと考えていたことがありました。

どうしてカメラバッグは、カメラバッグぽいんだろう？
そう見えない軽やかな、でも甘すぎないPiccoloぽいものがほしいな。
フランスに行ったとき、私はカメラバッグをひったくられ、
レンガの道に背中から倒れたのです。
黒くて、ごついカメラバックにスカーフを巻いたりして
一生懸命隠した結果、
あっけなく泥棒に見つかったのでした。

それが原因だけではないけれど、
町なかでは、よりカジュアルな、よりフランクな
そんなカメラとカメラバッグを好むようになりました。
自分の体はそんなに大きくないし、
視点は軽やかに羽のように柔らかくいたいので、
背伸びしない自分に合ったスペックの
カメラとそのアクセサリーがいいと感じるのです。

そんなある日、
大人の科学から出る35mmフィルムカメラの
撮影や執筆の仕事がやってきました。
プラスチックカメラのこの軽くて可愛い、
ヘンテコなカメラを眺めているうちに、
この子にとって収まりのいい
軽いバッグが、いよいよ本気で欲しくなりました。
普通のポシェットだとクッションが入ってないので、
ちょっと頼りないのです。

お隣に日曜製作所というビンテージミシンのある工房があります。
そこの甲州さんや、奥さん、娘ちゃんと毎日のように顔を合わせていると、
カメラバッグ、一緒に作りましょうか？ということになりました。
こんな奇跡、ありますでしょうか？あるのです。ね。

日曜製作所は、甲州さんの好きなものが詰まった工房です。
元々はアパレルの服飾デザイナーだった甲州さんは、
独立してTシャツを制作する仕事を始めました。
紆余曲折在り、その後、自分でイラストを描くようになって
自転車に乗った女の子のロゴが目印の
オリジナルブランド「SUNDAYBEACHCRUISER」をつくります。
＠SUNDAYBEACHCRUISE＠

10年やって来て、このブランドが安定してきたのを感じると、
何か新しいことをまたはじめたくなったのだそうです。
その際、出来上がったのが、このPiccoloのお隣の工房です。

すぐ目に入るのは、ビンテージのミシン。
100年くらい前の古いミシンがアメリカやヨーロッパから集められ
ここで何台も現役で稼働するパートナーとなっています。
もちろんミシンが壊れた時のため、ストックもあります。
甲州さんに、どうして、機械の楽ちんなミシンじゃなくて
わざわざ手間のかかるコストの高いビンテージミシンにしたのですか？
と聞くと
「好きだから、ですね」と答えが返ってきました。
そうなんだ、好きって、すごい力だなと改めて思いました。
でも、フィルムカメラもそうだし、撮影もそうですね。

けれども多くの人は好きだけど、、、、と、どこか、
妥協してしまうことが商売をしているとあります。

それを「好きだから」と、突き通すと、それは
もう楽しいがたっぷり詰まっている作品や商品になります。
Piccoloの写真のプリントも同じだなと思って、お話を聞いていました。

お客さんにただ安く、低コストで買ってもらうための商品は
世の中にたくさん溢れています。
けれども、
丁寧に作られて、こだわって楽しいが詰め込まれた商品は
数えきれないたくさんの商品の中から、すこし光って存在します。
手に取った人には分かる、こだわりの仕事。
返し縫いすらできない、古いミシンでつくられるオリジナルの商品。